「妄想がある」から苦しいのか、「妄想がない」から苦しいのか。
「どんな人でも自分の心の奥底に「自己治癒」の可能性を持っている」
「悩みの深い人は表現せざるを得ないものを持っている」
「人の心を打つような芸術は、表現せざるを得ない悩みを持った人によって創られるのだった」
ところでふと思うに、OSHOはピカソの作品をして、これは吐瀉物だと言っていた。
さっき(前回の記事
わたしは、被害者と加害者とは、同じ価値観の側面を分かち合っているのではないか、抱き合っているのではないか、と言ったけど、
これは、同時性を持たない場合もある。
これが、たとえば、DVなどで問題になるように、まったく密着している場合(閉鎖的・密室的)もあれば、
そこまで関係性が緊密ではなくとも、あっと心を打たれる、場面もありうるわけだ、
この際たとえば、この、河合氏はもうこの世の人ではないが、こうしてわたしが彼の発言に心打たれるように。
いやこれはわたしが、かれが、加害者であり被害者でありということではなくて、なんだろう、響くということについて。
「妄想の人にその薬をのましたら、妄想がなくなっていくことがわかっています。そのかわり、ひょっとしたら、その人は妄想がないために、すごく苦しんでいるかもわからない」
(以上、括弧内は「心理療法個人授業」より抜粋)
22:44 2018/09/30
妄想がないためにすごく苦しんでいる・かどうか、
それは、
ひとつの同情というか、憐憫というか、洞察として、
ひじょうに捨て置けない、というより尊いとさえ感じられる心情である。
それはつまり、根源的な治癒とは何か、に関わる問題でもある。
林公一の「統合失調症」についての本を読んでいると、
それは脳にアプローチする薬によって治るのだと、
これは臨床結果による事実でもある、だがそれ以上のことを予測するならば倫理という平野に踏み込まざるを得ない、
難しい問題であると思う。
まあ、一つ思うのは、
妄想がないために苦しむ、
それはそれで事実かもしれないが、実感として本人に事実としてあるかもしれないが、
傍から見れば、そうして本人からしてもおそらく、妄想の内容が変わってくれば、
妄想がないために楽になる、ということだって実際多くある、とも言えるかと思う。
妄想というのは、不思議だ。
かつて、幽霊が見える人っていうのは統合失調症だと思えばいい、という記述を見て、
いや、そうだけど、そうじゃない、と思ったのは、
だいたいそもそも、誰だって、「見えている」ものというのは主観に拠っている、主観に拠らざるを得ない、ということであり、
これは妄想だがこれは、妄想ではない、
これは幻視だがこれは、幻視ではない、
ということを、
これはたいへん難しい問題だが、
いったいどうやって「誰」が、
「わかる」というのだろうか。
そこに「幽霊」や「幽霊の気配」とでもいうべきものが見えている、感ぜられるのと、
そこに「人間」がいる、というのと、
果たしていったい何がどう違うと言えるだろうか。
同じじゃないか。
いや、細かく言えば同じじゃないが、広く言えば同じなんじゃないか。
そして、
この「幽霊が見える人」というのは、じゃあ「幽霊」だけしか見えないのかと言えばそうではなく、「幽霊」も「幽霊でないもの」も見えているわけだ。
「見えている」ものは、主観に拠らざるを得ない、
このことが、そもそも、「違う」んだろうなあ。
「見えている」ものは、主観だけではなく、「客観に支えられている」、
いや、それは、否定はできない。
わたしにはできない。
ただ、
なんだろう。
「密かな報酬」とでも言うべき。
なんかがある、
つまり、「客観に支えられている」ということには。
残る、ということがある。
それは、残る。
痕跡がある。
ふと思い出したのは、「Iわたし・真実と主観性」というホーキンズって、今日読んでいた人の本で、
ティッシュボックスから立ち上がるティッシュの形の美しさ、というくだりがあった、
なるほどそうだと思い、またなんでティッシュなんだとおかしく感じ、
ところがこれは、時を隔てて読み返してみてもやっぱりそこには、たしかに、「ティシュ」と書いてある。(はずだ)
ということがある。
ところでこれは実に個人的に不思議なのだが、
たしかに「火の鳥」であったと思う、
犬の仮面の被った(被らせられた)主人公と、老婆、(いま確認したらそれは「太陽篇」であった)、
ここで、老婆が、亀の甲占いをして、
「卦は常に正しい。ただ読む者が顕れた卦を読み間違えるということはある」
というようなことを言った、という記憶がわたしにはあって、
せんだって読み返してみたら、そんな場面はないんだよな。
不思議だなあ。
おそらく他の記憶と取り違えているのだろうとは思うが、
じゃあいったいわたしはこれをどこで仕入れたんだろうか、ともはや謎でしかない。
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